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7日間24時間血圧からみる
時間高血圧学



大塚邦明  東京女子医科大学名誉教授

A4判変型 166頁          
本体 4,800円+税    
2014年11月初版     
ISBN978-4-87055-130-5


  ここ数年間の時間生物学研究の進歩には目を見張るものがある。血圧リズムをつくりだす時計遺伝子研究も大きく飛躍しつつある。時計機構の乱れは癌を発症し、老化を誘発する。地域に即した診断と治療を進めるには、一人ひとりをじっくり眺めて時計遺伝子の視点から疾病の機序を探る必要がある。この書では24時間の血圧測定では得られない血圧変動について、7日間24時間連続して記録する方法論により新たに見いだされた重要な情報を紹介して、高血圧の時間診断を論考している。

内容見本

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■序文
 ここ数年の間の時間生物学研究の進歩には,目を見張るものがある.生活習慣病の予防に時計機構は, 欠かすことのできない生理機構であったばかりではなく、その乱れは発癌の重要な要因であった.老化を 抑え,寿命を長く保っているのも時計機構の任務であった.今では、認知機能の保持に欠かせない要因で あるという知見さえ見いだされている.その乱れが認知障害を引き起こし,アルツハイマー病を導いてし まうらしい.たかが時を刻む仕組みが,人の生き様にこれほど深く関わっていたとは,とただ驚くばかりである.
 そのような中,血圧の昼夜の変動リズム(日内リズム)も,時計機構のかかわりが大きいことが明らかにされてきた.眠るから血圧が下がり,起きて活動するから血圧は上がる.これが高血圧の診療に携わる者のこれまでの常識であった.その常識が根底から覆されようとしている.
「知らないということを知っている.」その言葉で,アテネ随一の賢者になった,古代ギリシャのソクラテスを思い起こさねばならない.私たちは,まだ知らないことばかり.その思いをもう一度こころに留めて,診療にあたることが必要のように思われる.そのような思いでこの書を著した.
血圧リズムと血圧変動は,何かに導かれて変動する.その深奥を知ることこそ,高血圧治療の基本ではないか.そのようにも思いつつ,この書を書き進めてきた.

 ご一読いただき,臨床/研究の糧にしていただければ幸いである.
 この書は,時間内科学(中山書店,2013年)と時間老年学(ミシマ社,2014年)との三部作である.時間生物学と時間医学の奥義は,とうていこの一冊には書き収められない.時間内科学には,急死とアストロバイオロジーの著述が深い.また時間老年学には,認知障害と時計機構との関わりを記し,こころの在り処にも言及した.是非,この2冊にも訪れていただきたい.
 著者は,時間医学とフィールド医学の視点から,オーダーメイド医療を求めたいと願っている.診療のあり方をもう一度考えてみたい.背景疾患を診断し,その原因を探索し,病態の広がりをみきわめて,それを徹底的に治療する.現在,これが医療のシナリオである.しかし,疾患の原因や病態は個々の患者によって異なる.同じ病気であっても,同じ治療の効果は千差万別である.ここにEBMの限界がある.何かが足りないと思う.
 EBMを補うには,時間医学とフィールド医学が有効である.時計遺伝子(時間医学)と総合的機能評価(フィールド医学)から得られる情報をもとに,治療効果の個人差を予測し,個人に見合った適切な治療を模索していく.時間医学とフィールド医学にこそ,理想の医療の姿がある.
 時間生物学研究の成果を臨床医学に応用しようとする試みが急速に普及し,医療の変換と進展が期待されている.今では,生活習慣病から老化・発癌まで,健康をおびやかす病態と時間機構との関わりが認識され,時間遺伝子が持つnon-clock functionと呼ばれて注目されている.脂質・リポ蛋白代謝・血管の炎症等を調節する核内受容体がコアループと連結することで,時計機構と代謝のプロセスとの相互強調作用が創出される.その結果,時計遺伝子に異常があると生体リズムが乱れ,肥満,高血圧,糖尿病が発症し,抑うつ気分が現れ,あるいは癌になってしまう.それゆえ一見,健康にみえる人であっても,今,もしからだのどこかの時計遺伝子に不調が生じていたら,やがて発病することになるのかもしれない.体内時刻を計測することで,その発病が予防できるのなら,現代医療は大きく飛躍することになるだろう.




■目次

1. 生体リズム研究の歴史と進歩    

時間生物学の歴史
サーカディアンリズムと時計遺伝子
時計タンパクとエピジェネティクス
生体時計と摂食(腹)時計
心拍変動リズムを操る生体時計
血圧リズムを操る時計遺伝子


2. 時計機構の加齢と老化

高齢者(あるいは高齢動物)の生体リズム
加齢と概日光受容機構
時計遺伝子と加齢・老化・寿命
食のリズムと老化と寿命


3. 24時間血圧の臨床的意義


24時間血圧計の歴史と開発の経緯
24時間血圧計の有用性
24時間血圧計の使用法
24時間血圧を行うことが望ましい高血圧
臓器障害や合併症がおこりやすい24時間血圧
外来診療で上手に24時間血圧を使用するためには


4. 時間医学の視点からみた高血圧


24時間血圧リズム
血圧のMondayサージとMonday Morningサージ
季節性血圧変動
数年間の記録でみる24時間血圧の日差変動
数十年間の記録でみる太陽活動に連関する血圧の変動

 

5. 7日間24時間血圧に基づく時間高血圧学

高齢者に多い24時間ABP高血圧の日差変動
大都会に多い夜間血圧下降度の日差変動
7日間24時間血圧の初日効果にみられる加齢の影響
7日間24時間血圧が示す曜日別の24時間血圧値
血圧変動の概日リズム解析にみられる加齢の影響
収縮期血圧の概日リズム周期とその異常群の特徴
血管リズム異常症(VVD)と血管リズム異常症候群(VVS)
血管リズム異常症候群(VVS)の視点からみた血圧概日リズムの日差変動
血管リズム異常症候群の疾病予後と生命予後
心脳血管事故の発症を予測する7日間24時間血圧
心脳血管事故の発症を予測する7日間24時間血圧
心脳血管事故の発症を予測するVVA/VVS危険因子スコア
サロゲートデータCAVIの上昇に関与する7日間24時間血

 

 

6. 7日間24時間血圧にみる血圧変動のいろいろ

7日間24時間血圧からみたMESOR高血圧
7日間24時間血圧からみたCHATとCHAT型高血圧
7日間24時間血圧からみた血圧エクファジア(ecphasia)
7日間24時間血圧からみた過剰に大きい脈圧(Excessive  Pulse Pressure)
7日間24時間血圧からみたMonday BP surge
7日間24時間血圧からみた仮面24時間高血圧(masked ABP HT)
7日間24時間血圧からみた仮面正常血圧(masked ABP NT)
7日間24時間血圧からみた仮面ノンディッパー(masked non-dipper)
7日間24時間血圧からみた仮面ディッパー(masked dipper)
7日間24時間血圧からみたpersistent non-dipper
7日間24時間血圧からみたライザー型高血圧
7日間24時間血圧からみた正常血圧
7日間24時間血圧に影響する生活習慣と外部環境


7. こころの時間を統括する島皮質


 
おわりに


索引

 




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